最近『ブラック企業』という言葉も一般的な言葉になりました。例えば、入社前の説明を偽り、給与や福利厚生が異なる場合や、求人票の労働条件を偽り、労働基準法などの法令を明らかに違反する極端な長時間労働やサービス残業を強制している場合はブラック企業と言えるでしょう。
実際には、その企業に入ってみないとブラック企業かどうかわからないことも多いかもしれませんが、就職、または転職する前には、労働条件や仕事の内容について、よくわからないことや確認したいことがあれば、面接時に聞いておくなど、その会社についての情報を事前に収集することが大切です。
また、会社は労働者を雇用した場合には、会社と労働者の双方が納得して労働契約を結んだことを示す雇用契約書、もしくは労働条件通知書にて、取り決めた内容を「書面にて明示」することが定められていますので覚えておきましょう。
極端に過酷な労働条件により、怪我をしたり、体調を壊したり、精神的に病気になることがあります。自分の体が一番大切ですので、そのような企業に就職した場合には、会社に適切な労務管理をお願いし、どうしても是正されない場合には、早めに転職した方がよいかもしれません。
「残業代が少ない」「食事休憩も取れない」「有休などないと言われた」「求人情報と実際の給料が違う」など、労働条件について悩んでいる場合には、会社の信頼できる人に聞いてみる、就業規則や賃金規定を見せてもらうなどのほか、各種相談窓口もあります。
今後、長時間労働の抑制を狙った取り組みの一つとして、違法な長時間労働を繰り返す「ブラック企業」の企業名を行政指導の段階で公表することが予定されていますが、社会的に影響のある大きな企業で、複数の都道府県に支店や営業所がある規模の大きい企業のみが対象となっています。現在の日本では、全企業のうち99.7%は中小企業であり、労働人口では約7割を占めています。あくまで一つの指標として活用してください。
最近では、「ブラック企業」も巧妙化しています。賃金不払いなどの明確な違法行為が見当たらない場合でも、高収入の裏には、現実的ではないほどの高いノルマ達成が賞与の条件になっていたり、長時間の残業代が給与に含まれている場合もあります。
なお、大企業を含め、現実的に全ての法令を常時100%遵守できる企業は少なく、お客様の増減、受注数の増減、繁忙期や閑散期、業界の景気動向、リーマンショックなどの外的要因により、雇用環境は常に大きく変化しています。職種によっては、業界の常識が習慣として必要なことがあるかもしれませんが、上記のブラック企業とはあくまで常識から逸脱している企業を表しています。